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2012 10.23 Tue

不動産の有効活用とアパート・賃貸マンション経営⑧

WAKOの高田です。

 

 
前回の続きです。
 
 
 
資産管理会社に該当する部分だけではなく、一般的なお話として、

非上場株式(取引相場のない株式)の評価方法についてご説明します。

 

 

取引相場のない株式は、相続や贈与などで株式を取得した株主が、その株式を発行した会社の経営支配力を持っている同族株主か、それ以外の株主等かの区分により、それぞれ原則的評価方式又は特例的な評価方式の配当還元方式により評価します。

 

 

原則的評価方式

原則的評価方式は、評価する株式を発行した会社を①従業員数②総資産価額③売上高により大会社、中会社、小会社のいずれかに区分して、原則として以下のような方法で評価をすることになっています。

 

大会社

大会社は、原則として、類似業種比準方式により評価します。

類似業種比準方式は、類似業種の株価を基に、評価する会社の(A)一株当たりの配当金額、(B)利益金額、(C)簿価純資産価額3要素比準要素)で比準して評価する方法です。

 

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※大会社は、原則として類似業種比準方式により評価されますが、純資産価額方式による評価を選択することもできます。

 

 

中会社
中会社は、類似業種比準方式と純資産価額方式の評価方法を併用して評価します。

 

評価額 = 類似業種比準価額 × L + 1株当たりの純資産価額 × (1 - L)

 

※中会社をさらに中会社の大、中会社の中、中会社の小と分類し、Lの値は会社の規模によってそれぞれ90%、75%、60%を適用します。

 

 

③小会社
小会社は、原則として、純資産価額方式によって評価します。

純資産価額方式は、会社の総資産や負債を原則として相続税の評価に洗い替えて、その評価した総資産の価額から負債や評価差額に対する法人税額等相当額を差し引いた残りの金額により評価する方法です。

 

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 評価差額に対する法人税額等に相当する金額 =

        (相続税評価額による純資産価額 - 帳簿価額による純資産価額) × 42%

 

 

※小会社は、原則として、純資産価額方式で評価されますが、併用方式を選択することも可能です。

評価額 = 類似業種比準価額 × 50% + 1株当たりの純資産価額 × 50%

 

 

一般的に、自社との比較対象となる類似業種の株価が低めに設定されているため、純資産価額方式よりも類似業種比準方式の方が株式の評価額自体は低くなるといわれています。

つまり株価対策では、これらの評価方法の違いを理解することがポイントとなってきます。

 

 

特例的評価方式

取引相場のない株式は、原則として、以上のような方式により評価しますが、同族株主以外の株主等が取得した株式については、その株式の発行会社の規模にかかわらず原則的評価方式に代えて特例的な評価方式の配当還元方式で評価します。

配当還元方式は、その株式を所有することによって受け取る一年間の配当金額を、一定の利率(10%)で還元して元本である株式の価額を評価する方法です。

 

 

特定の評価会社の株式の評価

特定の評価会社の株式は、原則として、(1)~(5)については純資産価額方式により、(6)については清算分配見込額により評価することになっています。

(1)~(4)の会社の株式を取得した同族株主以外の株主等については、特例的な評価方式である配当還元方式により評価することもできます。

 

(1) 類似業種比準方式で評価する場合の3つの比準要素である配当金額、利益金額及び簿価純資産価額のうち直前期末の要素のいずれか2つがゼロであり、かつ、直前々期末の要素のいずれか2つ以上がゼロである会社(比準要素数1の会社)

 

(2) 総資産価額中に占める株式や出資の価額の合計額の割合が一定の割合以上の会社

(株式保有特定会社)

 

(3) 総資産価額中に占める土地などの価額の合計額の割合が一定の割合以上の会社

(土地保有特定会社)

 

(4) 課税時期(相続の場合は被相続人の死亡の日、贈与の場合は贈与により財産を取得した日)において開業後の経過年数が3年未満の会社や、類似業種比準方式で評価する場合の3つの比準要素である配当金額、利益金額及び簿価純資産価額の直前期末の要素がいずれもゼロである会社

(開業後3年未満の会社等)

 

(5) 開業前又は休業中の会社

 

(6) 清算中の会社

 

 

特定の評価会社に該当すると、一般的に評価が高くなるといわれる純資産評価方式となるので、特定の評価会社とならないよう注意が必要です。

 

 

評価の方式による株価金額の違い

 

原則的評価額 > 特例的評価額

特定の評価会社 > 一般の評価会社

純資産価額 > 類似業種比準価額

小会社 > 中会社 > 大会社

 

一般的には、以上のような株価の大小となります。

 

相続対策としての株価評価下げとしては

 

①特例的評価方式(配当還元方式)となるように

類似業種比準価額方式が使えるように

会社規模(総資産・従業員数・取引金額)が大きくなるように

 

ができないかを考えます。

 

類似業種比準方式が使える場合は、さらに

 

①中会社にも大・中・小があり、上位ランクにできないか

②その計算式の要素から、株価引下げができないか

要素による株価引下げは(A)一株当たりの配当金額、(B)利益金額、(C)簿価純資産価額を小さくする。

 

(A) 配当率の引下げ

特別配当や記念配当等は、類似業種比準価額計算上の配当金額から除かれます。

通常配当をこれら特別配当に変更させることで、通常配当の配当率を引き下げることができます。

 

(B) 分社により好業績部門を移転する

会社分割等により子会社を設立して好業績部門を移したり、後継者が設立した別会社へ営業譲渡したりします。

 

(C) 利益の引下げ

短期的な対策としては、次のようなものがあります。

・不良在庫処分 ・不良債権償却 ・固定資産の売却損の計上

・従業員への決算賞与支給 ・役員退職金の支給

 

中長期的な対策としては、次のようなものがあります。

・減価償却資産の購入 ・レバレッジド・リース又はオペレーティング・リースの導入

・生命保険への加入

 

を考えます。

 

 

株価対策としての利益引下げ策が本業の体力を弱めることのないように、事前の検討も重要です。

また、特定の評価会社とならないように注意も必要です。

 

 

次回へ続く。

 

 

 

WAKO 高田

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