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2012 10.26 Fri

不動産の有効活用とアパート・賃貸マンション経営⑨

WAKOの高田です。

 

 
前回の続きです。

前回は、非上場株式(取引相場のない株式)の評価方法と、一般的な相続対策としての株価評価下げの方法を説明しました。

 

今回は、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」(略称:中小企業経営承継円滑化法)について説明します。

 

経営承継円滑化法では、下記の三大施策が盛り込まれていますが、いずれも親族内での承継を前提としています。

 

遺留分に関する民法の特例 (自社株の生前贈与に関わる民法特例)


金融支援 (保証協会、政策金融公庫の融資支援)


相続税の課税についての措置 (自社株の相続税の納税猶予

 

ここでは、主に重要な①と③について説明します。

 

①の遺留分に関する民法の特例についてです。

 

 

まず、民法の原則についての説明をします。

 

民法では「この人たちが遺産をもらうべきであり、分け方はこのようにするのが良い」と定めています。

それぞれ、「法定相続人」、「法定相続分」といいます。

 

民法で定められているからといっても、亡くなった人の意思を第一に尊重すべきですので、遺言書によって、相続人以外に財産をあげることも可能です。つまり、遺言書で書かれた内容は、民法の取り決めよりも優先され、必ずしも法定相続分通りに遺産分割をしなければならないということではありません。

 

しかし、「自分が死んだら、財産をすべて愛人にあげる」というような遺言を作られてしまうと、残された家族は気の毒になります。

相続人のこれまでの財産形成上の寄与の度合いや、今後の生活保障などを考慮すべきです。

そのため、民法では最低限相続できる財産を「遺留分」として保障しているのです。

つまり、遺留分とは、民法で保障された最低限相続できる財産のことです。

 

遺留分が保障されている権利者は、①被相続人の配偶者、②子供、③父母(直系尊属)です。

ただし、子供がいる場合は、父母に遺留分はありません

なお、代襲相続の場合は、代襲相続人にも遺留分は認められています。

また、法定相続人の第3順位である兄弟には、遺留分は保障されていません

 

遺留分の割合は、法定相続人が親などの直系尊属だけの場合は遺留分の算定の基礎となる財産の3分の1となり、それ以外(法定相続人が配偶者のみ・子供のみ・配偶者と子供・配偶者と親)の場合は、2分の1になります。

1人ひとりの遺留分は、全体の遺留分に各自の法定相続分の率を乗じて算出します。

 

 

全財産を1とした場合のそれぞれの法定相続分及び、遺留分はこちらです。

 

souzoku.bmp

 

子や、父母、兄弟姉妹が複数人いる場合の法定相続分、遺留分についてはそれぞれの人数で割ります。

 

例)配偶者と子が2人の場合

・配偶者の法定相続分は1/2、遺留分は1/4

・子①の法定相続分は1/4、遺留分は1/8

・子②の法定相続分は1/4、遺留分は1/8

 

 

侵害された遺留分を確保するためには、生前贈与、遺贈により財産をもらった人に、遺留分権利者は「遺留分減殺請求」をする必要があります。

遺留分減殺請求」の権利は、相続開始や、自分の遺留分が侵害され減殺できることを知った日から1年、あるいはそれを知らなくても相続開始の日から10年を過ぎると、時効で消滅します。

 

 

自分が亡くなった後は、どうしても、自分の意思どおり、つまり、遺言書のように相続財産を分けたいと思われる方もいるでしょう。

このような場合、遺留分によって、相続財産が渡らないように、あらかじめ事前に、その相続人に「遺留分の放棄」をしてもらう方法があります。

相続の開始前における遺留分の放棄は、放棄しようとする人が自分で家庭裁判所に申立てをして許可を受けなければなりません。

 

ここでのポイントは相続放棄は相続開始前にはできないが、遺留分の放棄は相続開始前にできるという点です。


 

遺留分とは、一定の相続人が受け取ることができる民法で保障された最低限相続できる財産ですが、遺留分があることによって困ることもあります。

金融資産であれば、比較的容易に財産分けをすることが可能ですが、例えば自宅・農地・その他事業用地などの不動産や自社株が主な遺産である場合など、分割が難しい財産しかない場合です。

 

 

土地の場合は、例えば・・・子供が2人おり、長男が親と実家に同居、次男は別で住んでいる場合などです。

実家以外に次男に渡せる財産がない場合は、遺留分の問題がでてきます。

共有持分としてしまうと、後々、実家に住んでいる長男に不都合が生じることにもなります。

この場合は通常、代償分割がおこなわれます。

 

 

株式の場合は、株式の評価はかなり高額となり、遺産のほとんどを株式が占めることとなると思います。

株式については、経営権の問題がありますので、先代経営者としては後継者に株式のほとんどを集中させたいと思うのが普通です。

後継者に株式のほとんどを集中させた場合も遺留分が問題となります。

 

以前は、代償分割がおこなわれていましたが、現在では「中小企業経営承継円滑化法」の「遺留分に関する民法の特例」があります。

 

 

 

次回へ続く。

 

 

 

WAKO 高田

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