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2012 10.13 Sat

不動産の有効活用とアパート・賃貸マンション経営⑥

WAKOの高田です。

 

前回は不動産管理会社(資産管理会社)について説明しました。

 

 

今回は①土地と同じく親名義で建築するで建てた建物を後継者に生前贈与したい場合について考えてみます。

 

①土地と同じく親名義で建築するで説明したデメリットには、以下の点がありました。

「アパートや賃貸マンションの収入は親の収入になり、損益が黒字であれば所得が増加し、それにともない税負担が増加する。」

「不動産収入を内部留保することにより、将来の金融資産に対する相続税が増加する」

 

 

建物を生前贈与することにより、贈与後は賃貸収入を受贈者である子供に帰属させることができ、また贈与者である親の所得増加を抑制させる効果もあるので、将来的な相続対策としては有効な方法です。

 

 

その際に利用できる制度に「相続時精算課税制度」という制度があります。

相続時精算課税制度とは、65歳以上の親から、20歳以上の子供に贈与を行う際に利用できる制度で、特別控除額2500万円までは贈与税が非課税となり、2500万円を越えた部分が一律20%となります。(①)

相続税額は贈与者が亡くなったとき、それまでに贈与を受けた相続時精算課税の適用を受けた贈与財産の価額と相続や遺贈により取得した財産の価額とを合計した金額を基に計算した相続税額から、①により納めた贈与税相当額を控除して算出します。

 

※相続時精算課税は、受贈者である子それぞれが贈与者である父、母ごとに選択できますが、いったん選択すると選択した年以後贈与者が亡くなった時まで継続して適用され、暦年課税に変更することはできません。

 

 

■贈与時のポイント

 

相続開始前にアパートの贈与があり、かつ、そのアパートの賃借人が贈与する前と変動がない場合は、相続税額の計算上、そのアパートの敷地については貸家建付地として評価することができ、賃借人が贈与時と相続時で変動している場合には、そのアパートの敷地については自用地価額で評価することになります。

 

 

要するに贈与前と贈与後で賃借人が変わった場合は、自用地評価額となってしまうので、相続税の節税効果がなくなってしまうということです。

 

 

 

これを解決する手法に前回説明した、不動産管理会社(資産管理会社)の②一括賃貸方式(サブリース方式)があります。

 

 

サブリース方式とは、資産管理会社をマスターレッシーとし、建物所有者(原賃貸人)とマスターリース契約を締結し、資産管理会社が賃借人となります。その後、資産管理会社を転貸人とし、入居者(従来の賃借人)を転借人としてサブリース契約を締結する、いわゆる転貸借をいいます。

 

既存の入居者(従来の賃借人)は転借人となり、資産管理会社が賃借人(転貸人)となります。

 

 

建物の贈与前に、この手法を利用することにより、入居者(転借人)が入れ替わっても、賃借人(転貸人)は不動産管理会社のまま変わりませんので、貸家建付地として評価することができます。

 

ただし、相続時精算課税制度を利用しても、2500万円を越える部分については20%の贈与税がかかりますので、贈与時に贈与税の支払いが可能かどうかがポイントとなります。

 

 

※転借人の権利について

サブリース方式を利用することによって、既存の入居者(従来の賃借人)の権利が法的にどのように変化するかといいますと、建物所有者(原賃貸人)と賃借人(入居者)としての賃貸借の関係であったものが建物所有者(原賃貸人)と転借人(入居者)としての転貸借の関係に変化してしまいます。

転貸借契約とは、賃貸借契約の上に乗っていますので、基礎である賃貸借契約が消滅すると、転貸借契約も終了します。

しかし、賃貸借と転貸借は別個の契約であり、賃貸借が消滅すれば転貸借も当然に消滅するというわけではなく、賃貸人の承諾を得て適法な転貸借が成立した以上は、転借人の利益も保護する必要性はあります。

そこで、判例では、賃貸借が合意解除である場合には、信義則上、原則として原賃貸人に対抗でき、転借人は引き続き目的物を使用収益することができるとしています。

しかし、解除理由が、賃借人(転貸人)の債務不履行の場合は、転借人は目的物を使用収益する権利を失うとされています。

 

 

従来の賃借人(入居者)が転借人となることによって、建物所有者(原賃貸人)に対する権利が弱くなりますので、入居者の同意を得ることが重要となります。

資産管理会社をマスターレッシーとする場合は、(建物所有者≒資産管理会社)ですから、債務不履行をおこすということは無いかとは思いますが、この判例を悪用すると「故意に転貸人の債務不履行をおこして、転借人(不良な入居者)を追い出す。」ということも可能になってしまいます。

 

 

さすがに、「故意に」債務不履行をおこした場合の契約解除は、転借人の権利が守られますが・・・

 

 

入居者の立場からすると、建物所有者から「転貸人が債務不履行をおこしたので契約を打ち切る。来月までに退去してくれ!」なんて言われてしまうと、法律をしらないとビックリしますよね。

 

 

 

次回へ続く。

 

 

 

WAKO 高田

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